前回のおさらいを。
前編を読んでいない方はまずはこちらの記事からお読みください。
リーダーから社内運転免許を取得するよう命ぜられたわたし。
優しいおじさんの指導の下、無事筆記試験を終えたわたしは、
実技試験を受けるべく、再び試験場を訪れることになるのでした。
おじさんとの再会
筆記試験から数日後、合格の連絡を受け取り、実技試験の案内が届きました。
実技は2日間あり、1日目は試験のための事前講習、
2日目が試験だと案内に記載されていました。
筆記は大人数で行われていましたが、実技は自動車に乗ることになるので、
どうやらペアで行われるらしく、わたしは後輩とペアを組むことになりました。
前回と同じように後輩の車に乗せてもらい試験場へ向かうと、
おじさんもまた前回と同じように、優しい笑顔で迎え入れてくれました。
「お久しぶりです!今日明日と頑張りましょうね!」
会場にはわたしと後輩のほかに2人いて、2ペアで試験が行われるようでした。
「では、各ペアの先生が来るので、それぞれ先生の指示に従って始めましょう。」
え・・・・おじさんが実技もやってくれるんじゃないんですか・・・?
その言葉をぐっと飲みこんで、わたしは分かりました、と返事しました。
実技試験官登場
わたしと後輩が待機していると、渋い俳優のようなシルバーグレーのおじ様が颯爽と歩いてきます。
「さぁ、始めようか。」
It’s a show timeと言わんばかりに、試験官のおじ様はキャップのつばをつかみました。
さながらグレイテストショーマンのヒュージャックマンでした。
ヒュージャックマンはわたしと後輩を引き連れ、1台の自動車に案内します。
「じゃあ、まずボンネットを開けてみて。」
すでに試されている・・・・!
わたしと後輩は顔を見合わせると、そっと運転席のボンネットのレバーを引きました。
ボコっと音を立てて、ボンネットが軽く浮き上がります。
あとはこれを全開すればいいだけです。
こちとら伊達に自動車業界で働いてないですよ、ボンネットくらい・・・。
開かねえ
浮いたボンネットに手を入れて持ち上げようとしても一向に持ち上がらない。
ボンネットが開かない
え?なんで開かないの?
焦るわたしに後輩がすかさず加勢します。
一緒にボンネットを持ち上げますが、まったく開く気配なし。
固く口を閉ざす車と格闘するわたしたち。うっすら汗が浮かんできます。
1分ほど膠着状態が続いている様子を見ていたヒュージャックマンが一言。
「中にもレバーがあるよ。」
え、そうなの?まさかの2重構造? ※自動車業界で働いています。
言われた通り隙間を手探りするとレバーが見つかり、押し上げると
あんなにも頑なだったボンネットがすんなりと開きました。
「君たち・・・本当に車運転してるんだよね?」
ヒュージャックマンが疑念の眼差しを私たちに向けます。
いや運転してるけど、ボンネットとか普段開けないし・・・。 ※自動車業界で働いています。
わたしたちは曖昧な愛想笑いをしその場を取り繕いました。
俺たち陽気な点検隊
ボンネットを開けた後、ヒュージャックマンが一つずつ点検ポイントを説明していきます。
ここがバッテリー、ここがエンジンオイル、ここがエンジンベルト。
「この点検、明日は全部自分たちでやるんだからね。」
そうか・・・運転だけじゃなくて点検から試験なのか・・・。
ヒューの説明を頭で繰り返しながら、覚えるのに必死でした。
ボンネットの点検終了後は、外観チェックやタイヤの空気圧チェックを実施し、
最終的には車内に乗り込み、ランプの点検や窓の開閉やエアコン操作など
順番に車に問題がないかの確認をしていきました。
点検だけでなかなかのボリュームがあることにわたしは内心怯えていました。
満を持して!走行!
膨大な点検を終え、いよいよメインの走行をすることになりました。
「じゃあまず、君から行こうか。」
後輩がヒューのご指名を受け、運転席に乗り込みます。
「40キロ定常走行後、60キロ定常つくって1-4変速してみようか」
ヒューが助手席で後輩に呪文を唱えました。
テイジョウ・・・?1-4ヘンソク?
※時速40キロでしばらく走行後、時速60キロをキープした後、
マニュアルモードで1速から4速まで変速する。ということです。
呪文は頭に入ってこなくても、ヒューが都度「40キロ!」「変速アップ!」とか
指示してくれるので、後輩もなんとか操作ができていました。
「じゃあ、次はそこの広場に入って、ハンドリングの練習ね。」
わたしと後輩はこのハンドリングで地獄を見ることになりました。
ハンドリング地獄
ハンドル操作にはクロスハンドルとプッシュプルハンドルの2種類あります。
自動車の曲がる角度によってこの2つをうまく使い分ける必要があるのです。
広場に入場後、ハンドリングの練習が始まりました。
「はい、右にプッシュプルいってみようか。」
後輩はゆっくりとハンドルを右に回します。
「左にプッシュプル。」
ヒューの指示に合わせて後輩が左にハンドルをきります。
「右にクロス。」「右にプッシュプル。」「左にプッシュプル。」「左にプッシュプル。」
おお・・・・これは・・・・・・。
めちゃくちゃ酔うじゃないか・・・・・!!!
そんなわたしの様子を露ほども知らないヒューはリズム天国のごとく軽快に指示します。
「左クロス右プッシュ右プッシュ左プッシュ右クロス。」
もうやめてくれ・・・。もうわたしの三半規管の限界がきている・・・。
わたしの気持ちを汲み取ったかのようにヒューが「よし終わり。」と言いました。
「じゃあ、次はきみの練習ね。」
後輩とバトンタッチで後部座席と運転席を交代しました。
まとめ
すみません・・・。前編と後編で終わらなかったので、中編つくりました。
次回、後編で終わらせます。お楽しみに。
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