社内の運転免許をとった話(前編)

仕事
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わたしは自動車系の組み込みエンジニアをしています。

ソフト開発をしている以上、そのソフトが問題なく動いているかのチェックが要ります。

つまり、実際の車に乗って、自分の作ったソフトが設計通りに

動いているかを確認する必要があるんですね。

ただ、その車を操作するには普通運転免許とは別に、会社独自の運転免許がいるのです。

今日はその運転免許をとった時の話をさせてください。

社内免許試験を受けることになった

ある日、チームリーダーから、

「そろそろほわぽさんも免許をとりましょうか。」

と言われました。

リーダーが言うことには、どうやら免許を取得しているメンバーを増やしたいらしいのです。

普段運転している人であれば、問題なく合格できる難易度だから、と。

試験とかは得意なほうではないですが、その程度ならとわたしは了承しました。

講習までの道のり

なんでも、その試験を受けるにはまずは講習の受講が要るみたいで、

わたしは同じく試験を受けることになったチームの後輩と講習会場へ出張しました。

しかし、すでにこの時点でとてつもないハードルを見せつけられました。

受講会場は愛知県の山奥にあり、交通手段は車のみ。

どうせ同じ場所に行くからと、わたしは後輩の車に乗せてもらいました。

会場に近づくにつれ、鬱蒼とした木々が生い茂り、

人より、お猿さんとかのほうが多そうですね?と言いたくなるような景色が広がっていきます。

初めのうちは、軽い遠足気分で談笑していたわたしと後輩ですが、

周りの雰囲気につられて徐々に口数が減っていきました。

これ、映画だったら序盤に怪物に襲われる人たちだよな、なんて頭の中をよぎっていましたが・・・。

「ここ、ですね」

後輩の言葉に顔を上げると、いよいよ到着した会場は意外にも普通の建物でした。

講習が始まるよ

会場のまわりは限界集落の様相でしたが、会場自体はまともで安心したわたしたち。

「あ、こんにちは!今日はよろしくお願いしますね!」

教室に入ると優しそうなおじさんが、わたしたちに挨拶をしました。

どうやらこの方が講師らしい・・・。

講師の目元の垂れ具合はわたしの緊張をほぐすには十分なパワーがありました。

よかった・・・先生は優しそう。

席について、しばらくすると講習開始時間を迎えました。

「では、始めていきましょう!」

叩き込まれる社内ルールの嵐

おじさんが優しいのは間違いではありませんでした。

受講者全員の様子をしっかり観察して、丁寧に説明をしてくれます。

ただ、おじさんが優しいどうのこうのより、

覚えることが多すぎる。

時計周りで走れとかこの場所は時速○○kmを超えるなとか、

このラインは〇台までしか入れないとか、SNSで自虐に見せかけたマウントをとるなとか。

一般的な交通ルールとは別の、独自のルールを制定しすぎていて、

国を造ろうとしているのか?と疑いたくなるような徹底ぶりでした。

そうか・・・このルールを全部頭に入れていなければ、

わたしはこの国(会社)にはいられないのか・・・・。

後輩を横目で伺うと瞳の光が消えかけていました。

筆記テストを受ける

社内ルールの数の暴力を受けたわたしは疲れ切っていましたが、

受講するだけでは終わりません。そう、試験があります。

なんのためにここに来たのかって、試験に合格するためです。

「試験はそんなに難しくないですから、安心してくださいね!」

おじさんが優しい微笑みを湛えながら、プリントを配布していきます。

しかも、テキストを見ながら解答してもいいそうで、

なるほど、これなら合格率が高いのも頷けます。

問題自体は30分くらいで解けそうな、〇×問題や穴埋め問題がほとんどでした。

おじさんの優しさが爆発する

「いま、問題を解いていて、ちょっとここ自信ないなって人いますか?」

テスト中におじさんがわたしたちに問いかけます。

自信がないところはないと言えば噓になるけれど、消極的なわたしは

「大丈夫です、全部分かっていますよ。」という顔で、おじさんに視線を返しました。

すると、別の受講者が挙手していました。

おじさんが挙手した受講者のもとに駆け寄ると、

「ちょっとここが・・・分からないです。」と困ったような声が聞こえました。

「ああここね!!!!!これはどういうルールでしたっけ?本当に〇でしたか~???」

えっ?それいいんすか?

本当に〇でしたか~?ってもう、×って言ってるようなもんじゃん。

答え教えちゃってんじゃん。

おじさんの優しさに動揺しつつ、わたしは変わらず自分の解答用紙に目を落としていました。

しかし、先ほどのおじさんとパイオニアの受講者のやりとりを聞いていた教室は一変。

次々に挙手を始める受講者たち。

そりゃそうだよね!答え教えてくれるんだもん!聞くよね!

その後もおじさんは挙手した受講者の机を巡回して、

ヒントという名の解答発表をしていました。

試験終了!

結局、わたしは分からないところがすべて誤答だったとしても、

合格点には届いていそうという見立てで、おじさんの手を借りることはありませんでした。

「本当に今日はお疲れ様でした!みなさん、ゆっくり休んでくださいね。」

おじさんは最後まで優しさをくれました。

試験も終わったことだし、やっと帰宅できる・・・。

緊張が解け、どっと疲労感が溢れているわたしにおじさんが言います。

「次は実技試験でお会いしましょう!」

嗚呼・・・・。

実技試験あんのかァ!!!!!

そりゃ普通運転免許にも筆記と実技ありましたしね。

というかそもそも受験前にリーダーが言ってました。完全に忘れてました。

というわけでわたしは後日、

再び山奥の試験場に足を踏み入れることになるのでした。

まとめ

1本で書いてしまおうかと思ったのですが、前編と後編で分けることにしました。

このエピソードはわたしの仕事の中でも印象深くて、

どうしてもどこかに出したくて記事にしました。

自動車業界の方にはあるある~と思っていただけるかもしれませんし、

そうではない方にはこんなことするんだと思っていただければ。

次回、実技編をお楽しみに。

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