本日は少し前に読んだ書籍のレビュー記事になります。
朝倉秋成さん著作の「六人の噓つきな大学生」。
本書は4大ミステリランキングにランクインし、王様のブランチBOOK大賞2021の大賞作品です。
わたしは2022年本屋大賞にノミネートされていたのをテレビで知り、読んでみたくなりました。
読み始めたら面白くて一気に読んでしまったので、おすすめしたいです。
あらすじ
2009年にリリースされたスピラという名のSNSを運営する、株式会社スピラリンクスの新卒採用。
最終選考に残った6人の就活生に与えられた課題は、グループディスカッション。
全員で内定を勝ち取るために、力を合わせて課題に挑む6人は、次第に打ち解け絆を深めていく。
しかし、最終選考の選考方法が突如変更される。
それは、六人の中で誰が最も内定に相応しいかを、就活者たち自身に選ばせる、というものであった。
仲間になりかけていた6人がただ一つの採用枠をかけ、争うこととなる。
ディスカッションが進んでいく中、会議室に置かれていた6通の封筒に6人は気づく。
その中の1つを開くと、そこには「●●は人殺し。」と最終選考のメンバーの名が記されたメッセージがあった。
封筒を仕掛けた犯人は誰なのか、そしてその目的は何なのか。閉ざされた空間の中で6人の本性が暴かれていく。
本作の面白いポイント
就活をした人におすすめ
わたしも8年前に就職活動を経験しました。
就活って緊張感があって独特な雰囲気を持った不思議な空間なんですよね。
やったことある人なら分かると思いますが、グループワークはどこの企業の選考フローにも存在している課題です。
グループワークはプレゼン型、作業型、ビジネスケース型、ゲーム型などいろいろあります。
わたしは自動車業界で就活していましたが、ミニカーをグループで走らせる課題をやったことがあります。
ただ、就活のグループは仲間というより、ライバルなので、シビアな雰囲気です。
協力はするけど、ほかのメンバーよりも自分をよく見せたいという思いが透けて見えることもあって、わたしは苦手でした。
読んでいくと、うんうん、就活ってこうだったなぁと懐かしい気持ちになるのが楽しいです。
逆にいま就活生の人は読むと結構しんどくなりそうなくらいリアルなので、終えてから読んでほしいです。
本書の6人は6人全員に内定が出る可能性もあるということで、協力し合いながら、本当の仲間になっていこうとしていきます。
しかしながら、選考方法の変更で状況は一変していくのです。
6人は優秀な学生、あるいは罪を背負った悪人?
選考の舞台となっている株式会社はスピラリンクスは飛ぶ鳥を落とす勢いのIT企業。
おしゃれなベンチャー企業で、初任給は50万円という驚きの額です。
そんな企業の最終選考まで残れるからには、6人は出身大学も名門で、優秀な学生です。
爽やか好青年でリーダーシップを発揮する九賀くん。
雰囲気づくりの能力に長けているスポーツマン、袴田くん。
美人で語学堪能な矢代さん。
情報の見極めが得意で、洞察力のある嶌さん。
自らが目立って活躍はしないけど、確実にグループをまとめていく参謀タイプ、波多野くん。
データの収集力抜群、頭脳明晰な森久保くん。
それぞれの得意分野を活かしながら、着実にグループディスカッションの準備を進めていきます。
完璧なメンバーで構成されたグループに思えましたが、最終選考の日に見つけた封筒の中には、6人それぞれの罪の告発文が記されているのです。
優れた学生に見えていた6人の裏の顔が暴れていく様に夢中になりました。
二転三転する展開
本書の一番の面白さは、予想を覆す展開にあると思います。
あまり書くとネタバレになるので、言えませんが、想定していたストーリー通りにならず、最後まで飽きることなく読み進めてしまいました。
最終選考の展開と、封筒を残した犯人が誰なのか、ぜひご自身で読んで確かめてほしいです。
まとめ
久々に読んだ小説だったんですが、めちゃくちゃ当たりでした。
最終選考が進んでいくにつれ、人間不信になってしまいそうです・・・。
ミステリー好きにはたまらない内容だと思います。
わたしが読んだときはハードカバーだったのですが、2023/6/13に文庫版が出ました。
お手頃価格になったので、この機会に読んでみてほしいです。
小説はちょっと苦手・・・という方はマンガも出ているみたいなので、こちらもおすすめです!
通勤や週末の読書を探している方に参考になれば幸いです。
さくっと読みやすい文章で読後感もいいですよ。ぜひ読んでみてください。
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